2026.09.18

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高卒採用の流れとスケジュール|製造業が内定後まで押さえる要点

高卒採用の流れとスケジュール|製造業が内定後まで押さえる要点

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製造業、とくに地方の中小工場にとって、高校生は今も貴重な若手の採用源です。一方で、高卒採用には大学生の就職活動とは違う独自のルールと日程があり、「ハローワークにいつ何を出せばいいのか分からない」「求人を出したのに応募がなかった」という声も少なくありません。

厚生労働省の取りまとめでは、2026年3月卒の高校生の求人倍率は4.12倍(3月末現在)でした。求職者1人に対して4件以上の求人がある計算で、高校生は企業を選ぶ立場にあります。日程どおりに求人を出すだけでは、比べられた段階で選ばれにくいのが実情です。

この記事では、高卒採用の年間スケジュールと押さえておくべきルールを整理したうえで、製造業の中小工場が求人票・職場見学・選考・内定後のフォローでやるべきことを、採用担当が兼任の会社でも回せる形で解説します。

高卒採用の年間スケジュール

高卒採用の日程は、厚生労働省・文部科学省・全国高等学校長協会・主要経済団体の協議で毎年決められています。2027年3月卒業予定者の場合は次のとおりです。

時期内容
6月1日〜ハローワークで高卒求人の受付開始
7月1日〜企業から学校への求人申込み・学校訪問の開始
9月5日〜学校から企業への応募書類の提出開始(沖縄県は8月30日)
9月16日〜企業による選考・採用内定の開始

実務では、この日程の前後にもやることがあります。春(3〜5月)に採用人数と職種を決めて求人票の中身を固め、6月にハローワークへ申し込みます。7〜8月は学校訪問と、生徒が応募前に職場を見に来る「職場見学」の受け入れ期間です。9月中旬に選考と内定、10月以降は内定者へのフォローと、応募が集まらなかった場合の追加募集が続きます。

つまり、高卒採用の勝負は9月の選考ではなく、6〜8月の準備期間でほぼ決まります。9月になってから動き出すと、生徒の応募先はすでに固まっていることが多いのです。

大卒採用と違う高卒採用の3つのルール

ルール1:求人はハローワーク経由で学校に届く

高校生向けの求人は、企業が直接求人サイトに載せて集めるのではなく、ハローワークで内容の確認を受けた求人票が学校に届き、進路指導の先生を通じて生徒に紹介されるのが基本です。求人票に不備があると確認に時間がかかるため、6月の受付開始に合わせて早めに申し込むのが安全です。

ルール2:応募できる会社の数が限られる

多くの地域では、一定の時期まで生徒1人が同時に応募できるのは1社だけという慣行があります。複数応募を認める時期や社数は都道府県ごとの申し合わせで異なるため、自社の地域のルールはハローワークや学校に確認してください。1社しか受けられないということは、生徒は応募前に慎重に会社を選ぶということです。応募前の職場見学の印象が、そのまま応募の有無を左右します。

ルール3:生徒と直接やり取りしない

選考前に企業が生徒へ直接連絡を取ることは、原則として認められていません。学校訪問や職場見学の日程調整も、学校の先生を通じて行います。応募書類も全国高等学校統一用紙という決められた様式で、家族構成や本籍地など本人の適性や能力と関係のない事項を尋ねない、公正な採用選考が求められます。面接でも同じ配慮が必要です。

製造業の求人票で伝えるべきこと

高校生と先生が最初に目にするのは求人票です。製造業の求人票は「製造スタッフ」「機械オペレーター」といった職種名と条件だけが並びがちですが、工場で働いたことのない高校生には、これだけでは仕事の中身が想像できません。

仕事内容は一日の流れで書く

「NC旋盤で自動車部品を加工します」の一文だけでなく、出社してから朝礼、段取り、加工、検査、日報までの流れを書くと、生徒は自分が働く姿を思い描けます。最初の半年で覚えること、1年後に任される仕事まで書けると、成長のイメージも伝わります。

勤務体系と職場環境は具体的に

交代勤務や夜勤がある場合は、シフトの組み方、夜勤が始まる時期、手当を正直に書きます。空調の有無、作業着の貸与、重量物の扱いの有無など、生徒や保護者が気にする点も具体的に書いておくと、職場見学での質問の質が上がります。

教育体制と先輩の存在を示す

高校生と保護者が最も不安に感じるのは「未経験で本当についていけるか」です。先輩が付いて教える期間、社内の技能講習、資格取得の支援、同じ高校の卒業生が働いているかどうか。こうした情報は、給与の数千円の差よりも応募の決め手になることがあります。

学校訪問と職場見学で選ばれる工場になる

学校訪問は関係づくりの場

7月以降の学校訪問では、求人票を手渡すだけでなく、過去の卒業生の働きぶりや、どんな生徒に向いている仕事かを先生に伝えます。先生は生徒の性格や適性をよく知っているので、「この生徒ならこの会社に合う」と思ってもらえるかどうかが大切です。毎年同じ学校に顔を出し、採用した卒業生の近況を報告し続けることが、翌年以降の信頼につながります。

職場見学は「現場を見せる」だけで終わらせない

職場見学は、生徒にとって応募するかどうかを決める場です。工場の中を一周して終わりにせず、次の点を意識すると印象が大きく変わります。

  • 年の近い若手社員に案内や質疑応答を任せる
  • 実際に使う機械や工具に触れる、簡単な作業を体験する時間をつくる
  • 休憩室や更衣室、食堂など働く環境も見せる
  • 夜勤や残業など言いにくいことも、先に正直に説明する
  • 保護者の同行や、後日の質問にも応じられることを伝える

安全面の配慮は欠かせませんが、「ここで働く自分」を想像できる見学にすることが、応募への一番の近道です。

選考と内定のポイント

9月16日以降の選考では、面接と作文、筆記試験や適性検査を組み合わせる会社が多いでしょう。高校生は社会人との面接に慣れていないため、緊張して本来の良さが出ないこともあります。完成度の高い受け答えを求めるより、ものづくりへの興味、学校生活で続けてきたこと、指示を素直に聞いて取り組めるかといった点を、落ち着いて話せる雰囲気の中で確認するのがおすすめです。

面接で尋ねてよいのは、本人の適性と能力に関することだけです。家族の職業や収入、住宅の状況、思想・信条などを尋ねることは、公正な採用選考の観点から避けなければなりません。面接官が複数いる場合は、質問項目を事前にそろえておくと安心です。

合否の連絡は学校を通じて行います。結果を待つ生徒の不安は大きいので、選考後はできるだけ早く通知しましょう。

内定後のフォローで早期離職を防ぐ

厚生労働省の調査では、2022年3月に高校を卒業して就職した人のうち、約38%が3年以内に離職しています。高卒採用は内定を出して終わりではなく、入社後に定着して一人前になるまでが採用だと考える必要があります。

入社までの半年を空白にしない

9月に内定を出してから4月の入社まで、およそ半年あります。この期間に連絡がないと、生徒は「本当にこの会社でよかったのか」と不安になります。内定者懇談会や工場見学の再訪、同期となる内定者同士の顔合わせ、配属予定の先輩からの手紙など、学校を通じた適度な接点を設けましょう。卒業前の資格取得を後押しするのも効果的です。

入社後の最初の3か月を設計する

高校を出たばかりの新入社員にとって、交代勤務や立ち仕事、職場の人間関係は大きな環境の変化です。教える担当の先輩を決め、最初の3か月で覚えることを段階的に示し、週に一度は困っていることを聞く時間をつくる。こうした基本的な仕組みがあるだけで、早期離職は減らせます。

今年度に間に合わなかった企業が今からできること

この記事を読んでいる時点ですでに選考が始まっていても、打てる手はあります。

  • 10月以降の追加募集に向けて、ハローワークに求人の追加・変更を相談する
  • 進路が決まっていない生徒がいないか、つながりのある学校に問い合わせる
  • 来年度に向けて、今年の応募状況と職場見学の反応を記録しておく
  • 来春の求人票の下書きと、職場見学の受け入れ体制を冬のうちに準備する

高卒採用は毎年同じ日程で動くため、一度流れを作れば翌年以降は再現しやすい採用です。今年の振り返りを残しておくことが、来年の結果を大きく変えます。

まとめ

高卒採用は、6月の求人受付、7月の学校訪問、9月5日の応募書類提出、9月16日の選考開始という決まった日程で進みます。求人倍率が高く、生徒が慎重に1社を選ぶ仕組みのため、勝負は6〜8月の準備と職場見学でほぼ決まります。

製造業の中小工場が選ばれるには、仕事内容を一日の流れで伝える求人票、先生との継続的な関係づくり、若手社員が主役の職場見学、そして内定から入社後3か月までのフォローが欠かせません。採用担当が兼任で手が回らない場合は、日程管理や求人票づくり、内定者フォローの設計を、RPaaS のような採用代行に任せるのも一つの選択肢です。まずは今年の振り返りから、来年の高卒採用の準備を始めてみてください。

よくある質問

高卒採用の求人はいつから出せますか?

ハローワークでの高卒求人の受付は、例年6月1日から始まります。ハローワークで内容の確認を受けた求人票を、7月1日以降に学校へ申し込みます。応募書類の提出は9月5日から(沖縄県は8月30日から)、選考と内定は9月16日からです。準備期間を考えると、春のうちに採用人数と求人票の中身を決めておくと安心です。

高校生に直接連絡して会社説明をしてもよいですか?

選考前に企業が高校生へ直接連絡を取ることは、原則として認められていません。学校訪問や職場見学の日程調整、合否の連絡も、学校の先生を通じて行うのが基本です。自社を知ってもらいたい場合は、学校訪問で先生に仕事内容や先輩の様子を伝え、職場見学の受け入れを丁寧に案内しましょう。

高卒採用の面接で聞いてはいけないことはありますか?

本人の適性や能力と関係のない事項は尋ねてはいけません。たとえば本籍や出生地、家族の職業や収入、住宅の状況、支持政党や宗教などの思想・信条に関する質問です。応募書類も全国高等学校統一用紙を使います。面接官が複数いる場合は、事前に質問項目をそろえておくと安心です。

製造業の職場見学ではどんなことをすればよいですか?

工場を一周するだけでなく、年の近い若手社員に案内や質疑応答を任せる、実際の機械や工具に触れる体験を入れる、休憩室や更衣室など働く環境も見せる、といった工夫が効果的です。夜勤や残業など言いにくい点も先に説明しておくと、入社後のギャップによる早期離職を防ぐことにもつながります。

9月の選考に間に合わなかった場合、今年度の高卒採用はあきらめるべきですか?

あきらめる必要はありません。10月以降も追加募集が行われることがあり、一定の時期以降は複数応募を認める地域も多くあります。ハローワークに求人の追加や変更を相談し、つながりのある学校に進路未定の生徒がいないか問い合わせてみましょう。同時に、来年度に向けた準備を早めに始めることが大切です。

出典・参考ソース

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この記事を書いた人

株式会社Sei San Sei CEO。半導体商社での技術提案、リクルートでの製造業向け採用支援・RPO推進を経て、ITベンチャー取締役・人事責任者を歴任。2023年にSei San Seiを設立し、大手製造メーカーをはじめ累計30社以上の採用・業務改善支援を手掛ける。「現場の技術理解」と「採用・組織作り」の双方に強いノウハウを持つ。著書に『仕事や将来に迷った時に、若手キャリア層のこれからの描き方』がある。

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