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夜勤や交替勤務のある求人は、日勤だけの求人に比べて応募が集まりにくい。設備を止められない工場で採用を任されている方なら、誰もが感じていることです。手当を上げても反応が変わらず、採用できても数か月で「体がもたない」と辞めてしまう。この繰り返しに悩む会社は少なくありません。
ただ、応募が来ない原因は「夜勤があること」そのものより、夜勤の実態が求人から読み取れないことにある場合が多いのです。この記事では、夜勤・交替勤務の採用が難しい理由を整理したうえで、法令上の要点、勤務体系の伝え方、応募を集めるための見直し、入社後の定着を支えるシフトの組み方までを順に解説します。
夜勤・交替勤務の採用が難しい3つの理由
労働安全衛生総合研究所の過労死等防止調査研究センターによると、夜勤・交替制で働く人の割合は年々増え、直近では30%を超えています。物流、医療、介護なども夜に働ける人を求めており、人材は業界をまたいで取り合いになっています。そのなかで工場の求人が選ばれにくい理由は、次の3つです。
- 生活と健康への不安が先に立つ。眠れるのか、家族との時間は取れるのか、何年続けられるのか。求職者は給与より先にここを心配します
- 求人から実態が読み取れない。「交替制あり」「夜勤あり」としか書かれていないと、時間帯も回数も分からず、最悪の想定で判断されます
- 夜勤ができる人の数がそもそも限られる。育児や介護を担う人、通勤手段のない人、体調に不安のある人は、最初から候補に入りません
1つ目と2つ目は、伝え方と職場の整え方で変えられます。3つ目は、働き方の選択肢を増やすことで対象を広げられます。順に見ていきます。
先に押さえる法令上の3つの要点
夜勤の求人を見直す前に、会社として守るべきルールを確認しておきます。ここが曖昧なままでは、求人に書く内容も決まりません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 深夜の割増賃金 | 午後10時から午前5時までの労働には、通常の賃金の2割5分以上の割増賃金が必要。時間外労働と重なる場合は合計5割以上 |
| 健康診断 | 深夜業を含む業務に常時従事する従業員には、6か月以内ごとに1回の健康診断が必要(通常は1年以内ごとに1回) |
| 勤務間インターバル | 終業から次の始業までに一定の休息時間を設ける制度。2019年4月から導入が事業主の努力義務 |
深夜の割増賃金は、夜勤が所定の勤務時間であっても必要です。例えば1時間あたりの賃金が1,400円の人なら、深夜帯は1時間につき350円以上が上乗せされます。「夜勤手当」を定額で払っている会社は、その額が法定の割増分を下回っていないかを確認してください。
このほか、18歳未満の深夜業は労働基準法で原則として禁止されています。また、小学校入学前の子を育てる従業員や、家族を介護する従業員から請求があった場合は、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、深夜に働かせることはできません(育児・介護休業法)。夜勤ができる人だけで現場を回す前提は、年々取りにくくなっています。
交替勤務の種類と、求人での伝え方
交替勤務といっても、形はさまざまです。求職者が知りたいのは「何交替か」という呼び名ではなく、自分の1か月がどうなるかです。代表的な形と、求人で伝えるべき点を整理します。
| 勤務の形 | 時間帯の例 | 求人で伝えること |
|---|---|---|
| 2交替(日勤・夜勤) | 8:00〜17:00 と 20:00〜5:00 | 切り替えの周期(1週間ごとなど)、夜勤の月あたりの回数、夜勤明けの休み |
| 3交替 | 6:00〜14:00、14:00〜22:00、22:00〜6:00 | 回る順番、同じ時間帯が続く日数、休日の並び方 |
| 日勤と遅番の2交替 | 6:30〜15:00 と 16:00〜0:30 | 深夜帯にかかる時間が短いこと、終業後の通勤手段 |
| 夜勤専属 | 21:00〜6:00 のみ | 日勤への切り替えの有無、休日の固定、健康面のフォロー |
「交替制あり」とだけ書くのは避けてください。時間帯、切り替えの周期、夜勤の回数、休日の並び、シフトがいつ確定するか。この5点が書かれていれば、求職者は自分の生活に当てはめて判断できます。
応募を集めるための5つの見直し
1. 1か月のシフト表をそのまま見せる
言葉で説明するより、実際のシフト表を1か月分載せる方が早く伝わります。日勤・夜勤・休みを色分けしたカレンダーを求人ページや会社案内に載せ、面接でも同じものを渡します。連休がどこで取れるか、夜勤が何日続くかがひと目で分かれば、「思っていたのと違う」という辞退は減ります。
2. 手当は内訳とモデル月収で示す
「夜勤ありで高収入」という書き方は、かえって警戒されます。基本給、交替手当、深夜割増を分け、夜勤が月に何回ある場合の月収なのかを明記します。
厚生労働省の令和7年就労条件総合調査によると、交替制勤務などに対する特殊勤務手当を支給している企業は、諸手当を支給した企業の19.5%です。従業員1,000人以上では36.3%、30〜99人では14.7%と、規模による差があります。支給された労働者1人あたりの平均額は月2万7,400円でした。自社の手当がこの水準と比べてどうかを把握しておくと、求人の条件を決める材料になります。
3. 夜の職場の体制を書く
夜勤で不安なのは、仕事の内容よりも「夜に何かあったらどうなるか」です。夜間の人数、責任者がいるかどうか、設備トラブルやけがの際の連絡体制、休憩と仮眠の取り方、空調、食事の手段、車通勤の可否を書きます。日中の職場しか紹介していない求人は、夜勤の候補者には情報が足りません。
4. 入社直後は日勤から始める
未経験者をいきなり夜勤に入れると、仕事を覚える前に体調を崩します。最初の1〜3か月は日勤で作業を覚え、次に先輩と組んで夜勤に入り、基準を満たしたら独り立ちする。この段階を決めて求人に書きます。「夜勤に入るのは入社3か月後」と分かるだけで、応募の心理的なハードルは下がります。
5. 働き方の選択肢を増やす
全員に同じ交替勤務を求めると、採用できる人は限られます。夜勤専属、日勤のみ、夜勤の回数に上限を設けた勤務など、複数の枠を用意すると対象が広がります。夜型の生活が合う人や、深夜割増を含めた収入を重視する人には夜勤専属が合います。育児や介護のある人を日勤に回し、その分を夜勤専属の採用で補う組み方も考えられます。
入社後の定着を支えるシフトの組み方と健康管理
採用できても、夜勤に入って数か月で辞めてしまえば、採用にかけた手間は戻りません。定着の鍵は、シフトの組み方と健康管理です。過労死等防止調査研究センターは、職場が取り組むべき対策として次の3つを挙げています。
- 勤務と勤務の間隔を十分に空ける。夜勤明けから次の勤務までの時間を長く取り、睡眠と疲労回復の時間を確保します
- 夜勤中に仮眠を取れるようにする。30分ほどの仮眠で集中力を保てるとされ、12時間以上の長い夜勤では2時間ほどの仮眠枠を設けることが強く勧められています
- 教育研修の機会を設ける。体内時計、睡眠と眠気、健康障害、けがや事故といった、夜勤に関わる知識を定期的に学べるようにします
勤務間インターバル制度を導入している企業は、令和7年就労条件総合調査で6.9%にとどまります。従業員30〜99人の企業では6.1%で、制度そのものを知らなかった企業も全体の15.7%ありました。導入企業が定めている間隔は平均10時間51分です。裏を返せば、夜勤明けから次の勤務までに空ける時間を就業規則に定め、求人に書くだけで、他社との違いになります。
年2回の健康診断は、実施して終わりにせず、結果を配置に生かします。所見のあった人の夜勤回数を減らす、日勤へ移すといった判断を、医師の意見を聞いたうえで行います。あわせて、夜勤に入って1か月後と3か月後に短い面談を行い、睡眠や体調、生活の変化を聞いてください。不調の兆しは、本人が言い出す前に拾うことが大切です。
面接と職場見学で確認しておくこと
入社後の食い違いを防ぐには、選考の段階で夜勤の実態を双方が確認しておく必要があります。
- 条件を示して、本人に確認する。シフト表、夜勤の回数、手当の内訳を見せたうえで、この条件で働けるかを尋ねます。家族構成や家庭の事情を聞き出すことは、公正な採用選考の観点から避けるべきです。会社が条件を説明し、判断は本人に委ねます
- 通勤手段を確認する。深夜や早朝は公共交通機関が使えない地域が多くあります。車通勤の可否、駐車場、送迎の有無を伝えます
- 夜勤経験の有無で説明を変える。経験者にはシフトの形と仮眠の取り方を、未経験者には夜勤に入るまでの教育の流れを重点的に説明します
- 夜勤をしている社員と話す機会をつくる。生活のリズムや休日の過ごし方は、実際に働いている人の言葉がいちばん伝わります
シフトの設計から求人の書き直し、応募対応、面接の日程調整までを兼任の担当者だけで進めるのは、簡単ではありません。採用業務の設計と実行をまとめて任せたい場合は、RPaaSのような採用代行を検討する選択肢もあります。
まとめ
夜勤・交替勤務の採用が難しいのは、生活と健康への不安、求人から実態が読み取れないこと、夜勤ができる人の数が限られることの3つが重なるためです。深夜の割増賃金、6か月ごとの健康診断、勤務間インターバルという法令上の要点を押さえたうえで、時間帯、切り替えの周期、夜勤の回数、休日の並び、シフトの確定時期を具体的に伝えることが出発点になります。
1か月のシフト表を見せる、手当を内訳で示す、夜の体制を書く、日勤から始める、働き方の選択肢を増やす。そして採用後は、勤務の間隔と仮眠、健康診断と面談で定着を支える。夜勤があること自体は変えられなくても、夜勤の中身と伝え方は変えられます。まずは自社のシフト表を1か月分、求職者の目で見直すところから始めてください。
よくある質問
夜勤ありの求人に応募が来ないとき、最初に見直すべきことは何ですか?
勤務体系の書き方です。「交替制あり」「夜勤あり」だけでは時間帯も回数も分からず、求職者は最悪の想定で判断します。時間帯、切り替えの周期、夜勤の月あたりの回数、休日の並び、シフトが確定する時期の5点を書き、できれば1か月分のシフト表をそのまま載せてください。手当を上げるのは、実態を伝えたあとで検討すれば足ります。
夜勤手当は法律でいくら払う必要がありますか?
「夜勤手当」という名称の手当に法律上の定めはありませんが、午後10時から午前5時までの労働には、通常の賃金の2割5分以上の深夜割増賃金を支払う必要があります。夜勤が所定の勤務時間でも必要で、時間外労働と重なる場合は合計5割以上になります。定額の夜勤手当を払っている場合は、法定の割増分を下回っていないかを確認してください。
2交替と3交替は、採用の面ではどちらが有利ですか?
一概には言えません。3交替は1回の勤務が短い一方で時間帯の切り替えが多く、2交替は切り替えが少ない一方で1回の勤務時間が長く組まれる場合がある、という違いがあります。求職者によって合う形は異なるため、呼び名よりも実際のシフト表と夜勤の回数、休日の並びを見せることが大切です。夜勤専属や日勤のみの枠を併せて用意すると対象が広がります。
夜勤をする従業員の健康診断は、年に何回必要ですか?
深夜業を含む業務に常時従事する従業員には、6か月以内ごとに1回、つまり年2回の健康診断を行う必要があります。通常の定期健康診断は1年以内ごとに1回ですが、深夜業は労働安全衛生規則で特定業務に位置づけられているためです。会社の規模にかかわらず実施義務があります。結果は夜勤回数の調整や配置の見直しに生かしてください。
高卒の新入社員や18歳未満の人に夜勤をさせてもよいですか?
18歳未満の人を午後10時から午前5時までの間に働かせることは、労働基準法で原則として禁止されています。高校を卒業して4月に入社する人は通常18歳に達しているため法律上は夜勤が可能ですが、最初の数か月は日勤で仕事を覚え、先輩と組んで段階的に夜勤に入る進め方をおすすめします。仕事に慣れる前の夜勤は、体調不良と早期離職につながりやすいためです。