2026.09.27

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AI面接とは|仕組み・メリット・注意点と中小企業の使い方

AI面接とは|仕組み・メリット・注意点と中小企業の使い方

目次

「AI面接を導入した」という話を聞く機会が増えました。面接の日程調整に追われ、面接官を務める工場長や部門長の時間がなかなか取れない会社にとっては、気になる仕組みです。一方で、「AIに人を選ばせて大丈夫なのか」「応募者に敬遠されないか」という不安も根強くあります。

この記事では、AI面接の仕組みを3つの型に分けて整理し、企業の活用状況と応募者側の受け止め方を最新の調査から確認します。そのうえで、採用担当が兼任の中小企業や製造業の会社が、無理なく取り入れる順番と、導入前に決めておくべきことをまとめます。

AI面接とは何か|3つの型で理解する

AI面接とひとことで言っても、実際には性質の違う仕組みが混ざっています。検討するときは、次の3つの型のどれを指しているのかを最初に切り分けると、話が整理しやすくなります。

1. 対話型AI面接

応募者がスマートフォンやパソコンでAIと対話し、AIが質問と掘り下げを行う型です。人の面接官は同席しません。あらかじめ決めた質問項目に沿って、「どんな状況で、何が課題で、どう行動し、どんな結果になったか」を順に聞き出し、回答内容を項目ごとに評価してレポートにまとめます。労働政策研究・研修機構(JILPT)が2026年に紹介した企業事例では、構造化面接の理論をもとに質問を設計し、AIは主に1次面接で応募者の特徴や傾向を示す役割にとどめ、2次面接以降は人が自社との相性を判断する使い方が取り上げられています。

2. 録画型の動画選考とAI評価

応募者が提示された質問に対して回答を録画し、企業が後から視聴する仕組みに、AIによる文字起こしや要約、評価の補助を組み合わせた型です。厳密には「面接」というより「動画による書類選考の拡張」に近く、応募者の都合の良い時間に受けられる反面、対話がないため掘り下げはできません。

3. 面接サポート型

面接そのものは人が行い、AIは録音の文字起こし、要点の整理、評価シートへの記入補助、日程調整の自動化などを受け持つ型です。合否の判断には関わらず、面接官の事務負担を減らすことに特化しています。後述する経団連の調査でも、企業が実際に使っている内容として多いのはこの型です。

「AI面接」という言葉で不安を感じる場合、多くは1の対話型を思い浮かべています。しかし、中小企業がまず効果を得やすいのは3の面接サポート型であることが多い、というのがこの記事の結論の一つです。

企業と応募者、それぞれの今

企業側:使われているのは「スクリーニング」と「面接サポート」

日本経済団体連合会が2026年4月に公表した「HR部門におけるAI等の活用に関する報告書」では、会員企業への調査(2025年11〜12月、75社が回答)で、人事部門でAIを採用に活用していると答えた企業は25社でした。その内訳で多かったのは「応募者スクリーニング(エントリーシートや動画の解析など)」の15社と、「面接サポート(評価補助、文字起こしなど)」の13社で、「バーチャル面接」と答えた企業は4社にとどまっています。大企業が中心の調査であっても、AIに面接そのものを任せている会社はまだ少数で、多くは人の判断を助ける使い方をしていることが分かります。

同じ報告書は、人事部門でのAI活用の大前提として、AIは人間の意思決定のサポート機能として位置づけること、そして安全性・公平性・透明性を確保することを挙げています。中小企業がAI面接を検討するときも、この前提は同じです。

応募者側:半数は「AI面接なら受験意欲が下がる」

応募者の受け止め方も見ておく必要があります。マイナビキャリアリサーチLabが2026年4月に行った2027年卒の大学生・大学院生への調査(1,258名が回答)では、AI面接を経験した学生は約28%に増えた一方、企業からAI面接を提示された場合に「受験意欲が下がる」と答えた学生は約51%でした。「変わらない」は約42%です。下がる理由は「人に評価してほしい」が約55%、「AIに判断されたくない」が約51%と、評価の主体がAIになることへの抵抗が中心でした。逆に意欲が上がる理由では「緊張しなさそう」が約51%と、受けやすさを評価する声もあります。

つまり、応募者は「AIが選考の道具として使われること」より、「AIに評価・判断されること」を嫌っています。この違いは、次に述べるメリットと注意点の両方に関わります。

AI面接のメリット

3つの型に共通するメリットと、対話型・録画型に特有のメリットを分けて整理します。

  • 面接官の時間を守れる:面接サポート型なら、文字起こしと要点整理だけでも、面接後の評価記入や社内共有にかかる時間が減ります。工場長や部門長が面接官を兼ねる会社ほど効果が出ます。
  • 応募者の都合に合わせられる:対話型・録画型は、夜間や休日でも受けられます。在職中の転職者や、交代勤務で日中に時間を取りにくい応募者にとっては、辞退の理由を一つ減らせます。
  • 質問と評価のばらつきを抑えられる:面接官によって質問が変わり、評価の基準もまちまち、という状態は中小企業でよくあります。対話型AI面接は決めた質問を全員に同じ順序で聞くため、構造化面接の形を自然に作れます。
  • 記録が残り、振り返りができる:面接の内容が文字と評価項目で残るため、入社後の活躍や早期離職と照らし合わせて、質問や評価項目を見直せます。
  • 1次面接の量をさばける:応募が多い職種や採用時期が集中する高卒採用などでは、対話型で1次面接を回し、人は2次面接に集中する分担が組めます。

デメリットと注意点

応募者に敬遠される可能性がある

前述のとおり、AIに評価されることに抵抗を持つ応募者は半数程度います。応募が集まりにくい職種で対話型AI面接を必須にすると、母集団をさらに減らすおそれがあります。導入する場合は、AI面接の位置づけ(1次面接の一部であること、最終判断は人が行うこと)を案内文で明確にし、可能なら人による面接との選択制にするのが現実的です。

公正な採用選考の原則はAIでも変わらない

厚生労働省が示す公正な採用選考の基本は、応募者の基本的人権を尊重し、適性と能力に基づく基準で選考することです。本籍や家族の状況といった本人に責任のない事項、宗教や支持政党といった本来自由であるべき事項は、面接での質問や書類で把握してはならず、これは職業安定法に基づく個人情報の取り扱いにも関わります。AIが質問や評価を行う場合でも、この原則の責任は企業にあります。質問項目と評価項目は自社で内容を確認し、適性・能力と無関係な事項が含まれていないかを点検してから運用を始めましょう。

「点数が高い=優秀」ではない

対話型AI面接のレポートは、項目ごとの点数や傾向として出てきます。JILPTの事例記事でも、各項目の点数は応募者の相対的な特徴を示すものにすぎず、企業の採用方針に基づいて読み解くことが重要だと指摘されています。「合計点の上位から採る」という使い方をすると、自社の現場で本当に必要な特性を見落とします。どの項目を重視するかは、現場の管理者と一緒に決めておく必要があります。

個人情報とデータの扱い

面接の録画や音声、文字起こしは個人情報です。個人情報保護委員会は、生成AIサービスに個人情報を入力する際、利用目的の範囲内であることの確認や、入力内容がAIの学習に使われないかの確認を事業者に求めています。AI面接サービスを選ぶときは、データの保存先と保存期間、学習への利用の有無、削除の手順を契約前に確認し、応募者への案内文にも記載しておくと安心です。

面接の「温度」が伝わらない

面接は選考の場であると同時に、応募者が会社を選ぶ場でもあります。現場の雰囲気や上司になる人の人柄は、AIとの対話からは伝わりません。特に中小企業や製造業では、「この人と働けそうか」が入社の決め手になることが多く、人が会う機会を減らしすぎると承諾率に響きます。

中小企業・製造業での現実的な取り入れ方

ここまでを踏まえると、採用担当が兼任で、応募数も限られる会社が最初から対話型AI面接を全職種に入れるのは得策ではありません。次の順番で段階的に進めるのが現実的です。

段階1:面接サポート型から始める

まず、人が行う面接の文字起こし、要点整理、評価シートへの記入補助、日程調整の自動化から始めます。応募者から見た面接の体験は変わらず、面接官の負担だけが減るため、社内の抵抗も少なく効果が見えやすい領域です。ここで「評価項目を決めて記録を残す」習慣ができると、後の段階に進みやすくなります。

段階2:応募が多い職種の1次面接に対話型を選択制で入れる

応募が一定数集まる職種や、採用時期が集中して面接官の手が回らない場面に限って、対話型AI面接を1次面接の選択肢として用意します。人による面接も選べるようにし、案内文には「AI面接は1次面接の一部で、最終判断は人が行う」ことを明記します。評価項目は自社で決め、レポートは合否の材料の一つとして人が読みます。

段階3:入社後のデータと照らして評価項目を見直す

面接記録と入社後の定着や活躍を照らし合わせ、どの質問や評価項目が意味を持っていたかを見直します。この段階まで来ると、AI面接は「面接官の代わり」ではなく、「自社の採用基準を育てる道具」になります。

製造業で気をつけたい点

  • 技能職・現場職では実技や職場見学を残す:溶接や機械加工などは、AIとの対話より現場での実技や職場見学のほうが適性を見極めやすい職種です。AI面接は補助にとどめます。
  • 高卒採用は学校との関係を優先する:高卒採用は学校を通じた選考が前提で、面接の形式にも配慮が必要です。対話型AI面接を入れる場合は、学校側に事前に説明できる範囲で慎重に判断します。
  • 外国人材にはスマートフォンでの受験環境と言語を確認する:対話型サービスの対応言語と、応募者側の通信環境をあらかじめ確認します。

導入前に決めておく5つのこと

  1. 目的:面接官の時間を減らしたいのか、評価のばらつきを抑えたいのか、応募者の受けやすさを上げたいのか。目的で選ぶ型が変わります。
  2. 評価項目と重みづけ:サービスの標準項目をそのまま使わず、自社の現場で必要な特性を管理者と一緒に決めます。合否の判断は人が行うことを社内で明文化します。
  3. 応募者への説明:AI面接の位置づけ、所要時間、データの扱い、人による面接を選べるかどうかを案内文に書きます。
  4. データの扱い:録画や文字起こしの保存先と保存期間、学習への利用の有無、削除の手順を契約前に確認します。
  5. 効果の測り方:面接官の時間、1次面接から2次面接への通過率、内定承諾率、入社半年後の定着率など、導入前の数字を記録してから始めます。

まとめ

AI面接には、AIが質問と評価を行う対話型、録画をAIが評価補助する録画型、人の面接をAIが支える面接サポート型があります。企業の活用状況を見ると、実際に多いのはスクリーニングと面接サポートで、面接そのものをAIに任せている会社はまだ少数です。応募者側は「AIに評価されること」に抵抗を持つ人が半数程度いるため、位置づけの説明と選択制が欠かせません。

採用担当が兼任の中小企業や製造業の会社では、面接サポート型から始めて、応募が多い職種の1次面接に選択制で広げ、入社後のデータで評価項目を育てる順番が現実的です。どの型を使う場合も、公正な採用選考の原則と、最終判断は人が行うという大前提は変わりません。評価項目の設計や面接の仕組み化まで含めて採用業務を整えたい場合は、RPaaSのような採用代行に設計から実行までを任せる選択肢もあります。

よくある質問

AI面接とはどのような仕組みですか?

AIが応募者に質問し、回答を評価する対話型、応募者が録画した回答をAIが文字起こしや評価補助する録画型、人の面接をAIが文字起こしや日程調整で支える面接サポート型の3つに分けられます。対話型は決めた質問を全員に同じ順序で聞くため、構造化面接の形を作りやすい一方、合否の最終判断は人が行うことが前提です。

AI面接を導入すると応募者に敬遠されませんか?

マイナビキャリアリサーチLabの2027年卒学生への調査では、企業からAI面接を提示されると受験意欲が下がると答えた学生が約51%いました。理由は「人に評価してほしい」「AIに判断されたくない」が中心です。1次面接の一部であること、最終判断は人が行うことを案内文で明記し、人による面接との選択制にすると抵抗を和らげられます。

AI面接の合否判断をAIに任せてもよいですか?

勧められません。経団連の報告書でも、人事部門でのAIは人間の意思決定のサポート機能として位置づけることが大前提とされています。AI面接のレポートは項目ごとの点数や傾向を示すものにすぎず、点数の高さがそのまま優秀さを表すわけではありません。どの項目を重視するかを自社で決め、レポートは合否材料の一つとして人が読む運用にしましょう。

AI面接でも公正な採用選考の決まりは適用されますか?

適用されます。厚生労働省が示す公正な採用選考の基本では、本籍や家族の状況といった本人に責任のない事項、宗教や支持政党といった本来自由であるべき事項を把握してはならないとされ、職業安定法に基づく個人情報の取り扱いにも関わります。AIが質問や評価を行う場合も責任は企業にあるため、質問項目と評価項目を事前に点検してから運用してください。

採用担当が兼任の中小企業はAI面接をどこから始めるべきですか?

人が行う面接の文字起こし、要点整理、評価シート記入の補助、日程調整の自動化といった面接サポート型から始めるのが現実的です。応募者から見た面接の体験は変わらず、面接官の負担だけが減ります。応募が多い職種や採用時期が集中する場面に限って、対話型AI面接を1次面接の選択肢として加え、入社後の定着状況と照らして評価項目を見直していきます。

出典・参考ソース

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この記事を書いた人

株式会社Sei San Sei CEO。半導体商社での技術提案、リクルートでの製造業向け採用支援・RPO推進を経て、ITベンチャー取締役・人事責任者を歴任。2023年にSei San Seiを設立し、大手製造メーカーをはじめ累計30社以上の採用・業務改善支援を手掛ける。「現場の技術理解」と「採用・組織作り」の双方に強いノウハウを持つ。著書に『仕事や将来に迷った時に、若手キャリア層のこれからの描き方』がある。

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