目次
1. 「雰囲気採用」の落とし穴
多くの企業で行われている面接は、面接官の「直感」や「経験則」に頼った非構造的なものです。 しかし、人間には「ハロー効果(ある一つの目立つ特徴に引きずられて、全体の評価が歪むこと)」や「確証バイアス(第一印象を肯定する情報ばかり集めてしまうこと)」などの心理的バイアスが存在します。 「話し上手で感じが良い人」を採用した結果、入社後に「実務能力が低い」「言われたことしかやらない」といったミスマッチが起きるのは、このバイアスが原因です。
2. 評価のバラつきをなくす「構造化面接」
採用の精度と公平性を高めるためには、「構造化面接(Structured Interview)」の導入が不可欠です。 これは、以下の要素を事前に設計し、全ての候補者に対して統一して実施する手法です。
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質問項目の統一: 全員に同じ質問をする(比較可能にする)。
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評価基準の定義: 「どのような回答なら5点(合格)か」という基準(ルーブリック)を決めておく。
Googleなどの先進企業も採用しているこの手法は、従来型(非構造化)の面接に比べて、入社後のパフォーマンス予測精度が圧倒的に高いことが研究で証明されています。
3. 行動事実を掘り下げる「STARメソッド」
候補者の能力や価値観を見抜くための具体的な質問技法として有効なのが「STARメソッド」です。 「過去の行動は、未来の行動の最も強力な予測因子である」という行動科学の原則に基づき、過去の具体的なエピソードを4つの要素で掘り下げます。
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Situation(状況): 置かれていた環境、背景。
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Task(課題): 直面していた困難や役割。
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Action(行動): その時、候補者自身が具体的にどう考え、どう動いたか。
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Result(結果): その行動によって何が起きたか、何を学んだか。
【質問例】
× 「あなたは粘り強いタイプですか?」(Yes/Noで答えられる、自己申告)
○ 「これまでで一番困難だったプロジェクトについて教えてください(S/T)。その時、あなたは問題を解決するために具体的に何をしましたか?(A)」
特に**「Action」**の深掘りが重要です。「チームで達成しました」という回答に対し、「その中であなたは具体的に何を担当し、どのような工夫をしましたか?」と問い続けることで、その人の真のスキル(Can)と価値観(Being)が浮き彫りになります。
まとめ
面接官の役割は、候補者を「ジャッジ」することではなく、構造化された質問を通じて候補者の「事実(Roots)」を正確に「収集」することです。 直感という不確かなものさしを捨て、科学的なものさしを持ちましょう。
Next Step
次の面接に向けて、必ず聞く「マスト質問」を3つ決めましょう。そして、その質問に対して「どういう答えが返ってきたら合格か」という基準をメモ書きで良いので用意してみてください。