目次
1. 1on1が「形骸化」する理由
1on1ミーティングが機能していない組織の共通点は、目的の履き違えです。 多くのマネージャーは、1on1を「自分のために情報を吸い上げる場(業務報告)」として利用してしまいます。しかし、本来の1on1は「部下のために思考を整理し、経験学習を促す場(成長支援)」でなければなりません。 部下が「忙しいのに時間を取られる」と感じているなら、それは黄色信号です。
2. 離職のサインを見逃さない「3つの問い」
漫然と「調子はどう?」と聞いても、部下は「大丈夫です」という防衛的な回答しか返しません。 潜在的な不満や離職リスク(離職の芽)を掘り起こすには、Sei San Seiの「Will・Can・Being」フレームワークに基づいた具体的な質問が有効です。
① Will(モチベーション)の点検
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質問: 「直近1週間で、一番『楽しい』『手応えがあった』と感じた仕事は何ですか?」
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狙い: 逆に「何もなかった」という回答が続く場合、仕事への意味付け(やりがい)を見失っている可能性があります。
② Can(パフォーマンス)の支援
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質問: 「今の業務を進める上で、最大の『障害物(ボトルネック)』は何ですか? 私が取り除けるものはありますか?」
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狙い: リソース不足や他部署との摩擦など、個人の努力では解決できない課題を吸い上げます。
③ Being(コンディション)の確認
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質問: 「心身のコンディションを10点満点で言うと何点ですか? その点数の理由は何ですか?」
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狙い: 数値化させることで、「先週は8点だったのに今週は5点」といった変化に気づきやすくなります。
3. マネージャーに求められる「傾聴力」
1on1で部下が悩みを相談した際、優秀なプレイヤー出身のマネージャーほど、すぐに「解決策(アドバイス)」を提示したがります。 しかし、部下が求めているのは正解ではなく、「共感」と「受容」です。 「それは大変だったね」「そういう風に感じていたんだね」と話を最後まで聴くこと。この心理的安全性があって初めて、部下は「実は辞めようか迷っていて…」という本音を口にすることができます。
4. アクションプランの合意
ただ話して終わりではなく、最後には小さな「Next Action」を合意します。 「じゃあ来週までに、私がその件を部長に確認しておくね」「君はこの資料だけ作ってみようか」 このように、「上司も動く」姿勢を見せることで、部下は「大切にされている」と実感し、エンゲージメントが向上します。
Summary
1on1とは、部下の心のコップに溜まった「濁った水(不安や不満)」を捨てさせ、新しい「綺麗な水(意欲)」を注ぐ儀式です。 「この人と話すと元気になる」。そう思われるマネージャーこそが、最強の離職防止策です。
Next Step:
次回の1on1では、PCを閉じて(または画面共有を切って)、部下の目を見て話してください。そして冒頭にこう言いましょう。「今日は業務の話は置いておこう。君が今後どうなりたいか(Will)、話を聞かせてくれない?」