2026.09.24

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製造業の外国人採用|特定技能・技能実習・育成就労の違いと進め方

製造業の外国人採用|特定技能・技能実習・育成就労の違いと進め方

目次

「求人を出しても日本人の応募がない」「技能実習生を受け入れてきたが、制度が変わると聞いて不安」。製造業の採用担当や工場長から、こうした相談を受けることが増えました。外国人材はすでに製造現場を支える存在ですが、在留資格の種類が多く、2027年4月には技能実習に代わる育成就労制度も始まります。制度を正しく押さえないまま動くと、受け入れの時期を逃したり、入社後に「この業務は任せられない」と分かったりしかねません。

この記事では、製造業で外国人を採用するときに使う在留資格の違い、育成就労制度で変わる点、特定技能「工業製品製造業」で受け入れるまでの流れを整理したうえで、採用担当が兼任の中小工場が押さえるべき実務のポイントを解説します。

製造業で働く外国人の現状

厚生労働省の「外国人雇用状況」の届出状況まとめによると、2025年10月末時点の外国人労働者数は約257万人で過去最多を更新しました。産業別では製造業が最も多く、外国人労働者全体の24.7%を占めています。つまり外国人労働者のおよそ4人に1人が製造業で働いている計算です。外国人を雇用する事業所の6割強は従業員30人未満の規模で、外国人採用は大企業だけのものではなくなっています。

在留資格別では、技能実習が約50万人、特定技能は出入国在留管理庁の速報値で2025年12月末時点に約39万人です。特定技能のうち工業製品製造業分野は約5.7万人で、飲食料品製造業、介護に次いで3番目に多い分野となっています。国籍はベトナムが最も多く、インドネシアとミャンマーの伸びが目立ちます。

数字が示しているのは、製造業の外国人採用がすでに「特別なこと」ではなく、同業他社も当たり前に取り組んでいるということです。動き出すのが遅れるほど、良い人材や信頼できる送出し機関・支援機関を確保しにくくなります。

製造業で使える在留資格の種類

製造業の現場で外国人が働く在留資格は、大きく次の4つに分かれます。目的も、任せられる仕事も、期間も異なるため、自社が「誰に、どの仕事を、どのくらいの期間任せたいか」を先に決めてから選ぶ必要があります。

在留資格位置づけ期間・転職主な要件
技能実習技能移転による国際貢献が目的。2027年4月以降は新規の計画認定申請ができない最長5年。原則転籍不可監理団体を通じた受け入れ
育成就労(2027年4月〜)人手不足分野で3年かけて特定技能1号の水準まで育てる制度原則3年。一定の条件で本人の意向による転籍が可能入国時に日本語A1相当の試験合格、または認定日本語教育機関での講習受講
特定技能1号相当程度の知識・技能を持つ即戦力の受け入れ通算5年まで。転職可。家族帯同不可分野別の技能評価試験と日本語試験の合格(技能実習2号を良好に修了すれば免除)
特定技能2号熟練した技能を持ち、班長・職長として現場を統括できる人材更新に上限なし。転職可。家族帯同可2号評価試験等の合格と実務経験

このほか、大学や専門学校を卒業した人が生産技術・設計・品質管理などに就く「技術・人文知識・国際業務」、永住者や日本人の配偶者などの「身分に基づく在留資格」があります。身分系の在留資格は就労内容に制限がなく、ライン作業から管理業務まで任せられる点で、実は中小工場にとって見落としがちな採用対象です。

注意したいのは、「技術・人文知識・国際業務」では単純作業を主とする現場業務に就かせることができない点です。求人票の仕事内容と在留資格が合っていないと、在留資格の申請が通らないだけでなく、不法就労助長とみなされるおそれもあります。

2027年4月開始の育成就労制度で何が変わるか

2024年6月に成立した改正法により、技能実習制度は廃止され、2027年4月1日から育成就労制度が施行されます。技能実習が「国際貢献」を建前としていたのに対し、育成就労は「人手不足分野で人材を育成し、確保する」ことを正面から目的にした制度です。

3年で特定技能1号の水準へ育てる

育成就労の期間は原則3年で、この間に特定技能1号に移行できる技能と日本語力を身につけることを目指します。就労開始時には日本語A1相当(日本語能力試験N5程度)の試験合格、または認定日本語教育機関での講習受講が求められます。受け入れ企業には、技能だけでなく日本語学習を含めた育成計画の実行が求められることになります。

本人の意向による転籍が認められる

技能実習では原則として認められなかった転籍が、育成就労では一定の条件のもとで本人の意向により可能になります。同じ受け入れ企業で1〜2年以上働き、技能検定基礎級と日本語A1相当の試験に合格していることなどが条件です。つまり、育成就労の外国人は「辞められない人」ではなくなります。待遇や職場環境が近隣の工場より見劣りすれば、育てた人材が他社へ移ることが制度上起こり得ます。

技能実習の経過措置

出入国在留管理庁の資料によると、施行日より前に認定を受けた技能実習計画に基づいて実習中の人は、施行後も技能実習の在留資格のまま実習を続けられます。一方で、施行日以降は技能実習計画の認定申請ができません。施行前に計画認定と在留資格認定証明書の交付を受けた人は、2027年6月30日までに入国する必要があります。技能実習での受け入れを続けたい場合は、2026年度中に計画申請を終えておく必要があり、時間的な余裕はあまり残っていません。

製造業分野の受け入れ体制も整いつつある

経済産業省は2026年5月に工業製品製造業分野の育成就労に関する基準を告示し、製造業育成就労外国人材受入れ協議・連絡会を設置しました。同年6月には一般社団法人工業製品製造技能人材機構(JAIM)が育成就労外国人受入事業実施法人として登録され、2026年8月から10月にかけて全国で企業向けセミナーが開かれています。受け入れを検討している工場は、まずこれらの一次情報に目を通しておくとよいでしょう。

特定技能「工業製品製造業」で受け入れるまでの流れ

すぐに戦力がほしい工場にとって、現実的な選択肢は特定技能1号です。工業製品製造業分野で受け入れるまでの流れは、経済産業省の資料によると次のとおりです。

  1. 受け入れの検討開始。自社の事業所が対象の日本標準産業分類に該当するか、任せたい仕事が対象の業務区分に含まれるかを確認する
  2. 一般社団法人工業製品製造技能人材機構(JAIM)に事業所ごとに加入する
  3. 受け入れる外国人候補を探す(送出し機関、人材紹介、国内在留者からの採用など)
  4. 1号特定技能外国人支援計画を作る(自社で行うか、登録支援機関に委託する)
  5. 特定技能雇用契約を結ぶ
  6. 地方出入国在留管理局へ在留資格の申請を行う(海外からの場合は在留資格認定証明書交付申請、国内在留者の場合は在留資格変更許可申請)
  7. 海外からの場合はビザ申請を経て入国、就労開始

ここでつまずきやすいのが1番目と2番目です。工業製品製造業分野は「事業所の産業分類」と「外国人が従事する業務区分」の両方が条件を満たす必要があります。2026年6月時点で、特定技能1号を受け入れられる産業分類は76分類、業務区分は機械金属加工・電気電子機器組立て・金属表面処理・紙器・段ボール箱製造・縫製など17区分です。自社の主力製品が対象外の分類だと、そもそも受け入れができません。事前に自社の産業分類コードを確認しておきましょう。

JAIMへの加入は在留資格の申請前に済ませておく必要があり、審査には時間がかかります。就労開始の希望時期から逆算して、半年程度の余裕を見ておくと安心です。また、特定技能1号の受け入れには本人への生活支援(住居の確保、行政手続きの同行、日本語学習の機会提供、定期面談など)が義務づけられています。採用担当が兼任の工場では、この支援業務を登録支援機関に委託するのが現実的です。

採用担当が兼任の工場が押さえる5つの実務ポイント

1. 「誰を、どの仕事に、何年」を先に決める

在留資格の選択は、採用したい人物像から逆算します。ライン作業の担い手を3年かけて育てるなら育成就労、即戦力で5年間働いてほしいなら特定技能1号、班長候補として長く働いてほしいなら特定技能2号への道筋も含めて設計します。制度を先に決めて人を当てはめると、任せたい仕事が対象外だったという失敗につながります。

2. パートナーとなる機関は複数社を比べる

送出し機関、監理支援機関(育成就労)、登録支援機関(特定技能)は、受け入れの成否を大きく左右します。費用の内訳、担当者の対応言語、緊急時の連絡体制、これまでの製造業での受け入れ実績を、最低でも2〜3社に聞いて比べましょう。手数料が極端に安い機関は、本人から不当な費用を徴収しているケースもあります。本人の負担が重いと、入社後の失踪や早期離職の原因になります。

3. 求人票と面接では仕事の中身を具体的に伝える

日本人向けの求人票をそのまま翻訳しても、外国人には伝わりません。扱う機械、1日の流れ、夜勤や交代勤務の有無、残業の目安、寮の条件、通勤手段を写真や動画も使って具体的に示します。面接では通訳を介してでも、本人が「何をしたいか」「日本でどこまでキャリアを積みたいか」を聞き取り、自社で叶えられるかを率直に伝えることが、入社後のギャップを減らします。

4. 受け入れ前に現場の準備を整える

作業手順書や安全表示の多言語化、やさしい日本語での指示の徹底、日本人社員への事前説明、相談窓口となる担当者の明確化を入社前に済ませておきます。最初の3か月で職場に溶け込めるかどうかが、その後の定着を決めます。現場のリーダーを巻き込み、「指示が伝わらないのは本人のせい」で終わらせない仕組みを作りましょう。

5. 転籍を前提に、選ばれ続ける職場をつくる

特定技能は転職が可能で、育成就労でも条件を満たせば転籍ができます。外国人材は近隣の工場と待遇を比べたうえで残る会社を選びます。同一労働同一賃金の考え方に基づく給与水準、評価と昇給のルール、特定技能2号や正社員登用へのキャリアパスを示すことが、育てた人材を手放さないための条件です。これは日本人の若手を定着させる取り組みと本質的に同じです。

まとめ

製造業の外国人採用は、在留資格ごとの目的と条件を理解し、自社の産業分類と任せたい業務が対象かを確認するところから始まります。2027年4月の育成就労制度の開始に向けて、技能実習の新規申請は2026年度で終わり、特定技能の受け入れも協議会加入から就労開始まで数か月を要します。今のうちに一次情報を確認し、時期から逆算して準備を進めましょう。

とはいえ、採用担当が兼任の工場で、制度の確認から機関の選定、求人票づくり、面接、受け入れ準備までを一人で回すのは負担が大きいものです。採用業務の設計から実行までを外部に任せて、現場は受け入れと育成に集中したい場合は、RPaaS のような採用代行を検討する選択肢もあります。

よくある質問

技能実習制度はいつ廃止されますか?

2024年6月に成立した改正法により、技能実習制度は廃止され、2027年4月1日から育成就労制度が施行されます。施行日より前に認定を受けた技能実習計画に基づいて実習中の人は、施行後も技能実習の在留資格のまま続けられますが、施行日以降は技能実習計画の新たな認定申請ができません。

育成就労と特定技能の違いは何ですか?

育成就労は、人手不足分野で外国人を3年かけて特定技能1号の水準まで育てる制度で、就労開始時の技能要件は求められない代わりに日本語A1相当の要件があります。特定技能は、技能評価試験と日本語試験に合格した即戦力を受け入れる制度で、1号は通算5年まで、2号は更新に上限がなく家族の帯同も可能です。

特定技能の工業製品製造業分野では、どんな仕事を任せられますか?

2026年6月時点で、特定技能1号は機械金属加工、電気電子機器組立て、金属表面処理、紙器・段ボール箱製造、印刷・製本、紡織製品製造、縫製、家具製造など17の業務区分で従事できます。特定技能2号は機械金属加工、電気電子機器組立て、金属表面処理の3区分に限られます。あわせて、事業所の日本標準産業分類が対象に含まれている必要があります。

外国人の採用を決めてから働き始めるまで、どのくらいかかりますか?

特定技能1号で海外から受け入れる場合、協議会への加入、候補者の選定、支援計画の作成、雇用契約、在留資格認定証明書の交付申請、ビザ申請を経て入国となります。協議会の加入審査や在留資格の審査にはそれぞれ時間がかかるため、就労開始の希望時期から半年程度は余裕を見て動き出すのが安全です。

外国人材はすぐに辞めてしまうと聞きますが、対策はありますか?

特定技能は転職が可能で、育成就労でも条件を満たせば本人の意向で転籍できます。近隣の工場と比べて見劣りしない給与水準と昇給のルール、作業指示や安全表示の多言語化、相談窓口となる担当者の明確化、特定技能2号や正社員登用へのキャリアパスの提示が定着につながります。入社前に仕事の中身と生活条件を具体的に伝え、ギャップを減らすことも大切です。

出典・参考ソース

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この記事を書いた人

株式会社Sei San Sei CEO。半導体商社での技術提案、リクルートでの製造業向け採用支援・RPO推進を経て、ITベンチャー取締役・人事責任者を歴任。2023年にSei San Seiを設立し、大手製造メーカーをはじめ累計30社以上の採用・業務改善支援を手掛ける。「現場の技術理解」と「採用・組織作り」の双方に強いノウハウを持つ。著書に『仕事や将来に迷った時に、若手キャリア層のこれからの描き方』がある。

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